訪問看護師になってから研修などを経て自分のペースで働き始めると、もう病棟や外来には戻れないという人が大勢います。
訪問看護師の仕事には、それだけ多くの魅力があります。
訪問看護師は病院の勤務と違い、直接利用者のご自宅を訪問して必要な看護ケアを行います。
自宅でがん治療を行っている人のご自宅なら、中心静脈栄養のカテーテルを挿入して輸液ポンプなどを使い、病室と変わらない医療処置を実施していることがあります。
時には寝たきりの認知症の方が、1人暮らしをしているような所への訪問もあります。
それぞれの訪問先で行う看護ケアは、大きく異なります。
1人1人の利用者のご自宅に入ると、その人のバックグラウンドが理解しやすいという特徴があります。
玄関先に海外旅行で買ってきた小物がたくさん飾ってある家では、趣味の海外旅行の話に花が咲きます。
そしてその頃を思い出すことで、利用者の闘病意欲が増すことがあります。
また、ベッドの周りに子供やお孫さんとの写真がたくさん飾ってあるお部屋では、お孫さんが遊びに来てくれることが何よりも楽しみだと知ることができます。
このように、その人の心の支えになるものを追求することができるのが訪問看護師の強みでもあり、その人に会わせた楽しみを見つけながら治療を進めていくアドバイスが進められます。
訪問看護では、無機質な病室ではとうてい知ることができない1人1人のパーソナリティーに向き合って看護ケアが実践できます。
流れ作業で進むケアと全く中身の深さが異なるのが、この仕事の大きな魅力です。